2025.08.02
2025年7月27日早朝、ロシア・カムチャッカ半島沖で発生したマグニチュード7.8の大地震。日本の気象庁はこの地震に伴い、北海道から関東にかけて津波注意報を発令しました。太平洋沿岸部では最大で約1メートルの津波が観測され、直接的な被害は限定的だったものの、物流業界では緊張と一時的な混乱が広がりました。
「ロシアの地震がなぜ日本の物流に関係あるのか?」と感じる方もいるでしょう。しかし、日本とカムチャッカ半島は同じ太平洋プレート上にあり、過去にも津波が太平洋を横断して届いた例があります。今回は幸い被害は最小限でしたが、物流という観点でみるとさまざまな課題やリスクが改めて浮き彫りになりました。
地震の発生と津波注意報の発令を受け、道内および東北の港湾施設では一時的に作業がストップ。フェリー、RORO船(貨物車両積載船)、コンテナ船の出入りが制限され、港湾労働者にも避難指示が出されたことで、以下のような影響が生じました。
港での荷役作業の中断
フェリー便の欠航や遅延
陸揚げ予定の貨物が積んだまま船内待機
トラックへの積み込みスケジュールの変更
倉庫での一時保管コスト増加
このように、「実際に津波が押し寄せる前」の段階で物流がストップするのは、BCP(事業継続計画)を考える上でも非常に重要なポイントです。
港が使えなくなると、ただちにその先の物流にも影響が出ます。たとえば冷凍食品や生鮮品を扱う物流会社では、「午後に港で積み込む予定だったが、津波警戒のため夕方に変更」「保管温度を維持するために冷蔵施設の調整が必要になった」といった声が相次ぎました。
一時的な停止であっても、その遅延が末端の納品先に届くまでには数時間〜半日以上の“タイムラグ”が生じます。これが積み重なると、以下のような現象が起き始めます:
納品遅延による取引先からの問い合わせ増加
トラックの積み替え・待機時間のロス
配送スタッフのシフト再調整
小売業者での欠品・販売機会ロス
とくに、24時間体制で動いている食品系物流においては、わずか数時間の遅れが命取りになることも少なくありません。
今回のような地震や津波は、完全に予測することはできません。しかし、備えることは可能です。多くの物流企業が取り組んでいるBCP(事業継続計画)の中には、以下のような項目が含まれます:
津波・地震発生時のドライバー緊急連絡体制
荷主への自動通知ツール導入(メールやLINE連携)
一時的な積み替え・保管施設の確保
被災地域外との協力体制構築(協力会社ネットワーク)
搬入先への配送遅延想定シナリオの準備
また、港湾・空港といった「起点インフラ」が停止した際のバックアップルート(例:青森→函館フェリー→道内配送)なども、あらかじめ設計しておくことが必要です。
大手企業であれば、全国各地に物流拠点や代替ネットワークを持っています。しかし、中小の運送会社や地域密着型の物流業者にとっては、突然のフェリー欠航や入港制限は大打撃です。
実際、当社でも協力会社のドライバーから「船が止まったので一日休みにしていいですか?」という連絡が入りました。大手企業であれば判断を仰げる“司令塔”がいますが、中小では現場責任者が即断即決を迫られるのが現実です。
こうした非常時こそ、「物流は生き物である」と再認識する瞬間なのです。
最終的に、今回の津波は日本の沿岸には大きな被害を及ぼしませんでした。しかし、「来るかもしれない」という予測だけで物流が止まるという事実は、今後ますます重要なリスクマネジメント項目になります。
物流業界は、常に“待ったなし”の現場で動いています。しかし自然災害や海外発の地震・津波など、人の力ではどうにもならない外的要因にどう備え、どう判断するかが、これからの物流企業の価値を決めると言っても過言ではありません。
2025年7月のカムチャッカ沖地震は、直接的な災害こそなかったものの、日本の物流に小さくない影響を与えました。とくに港湾物流やフェリー輸送に依存する地域では、津波注意報だけで物流の流れがストップすることを身をもって体験する結果となりました。
今回の事例を教訓に、今後も物流業界として「見えないリスク」とどう向き合うか、そしてそれにどう備えるかを、社内で見直すきっかけにしていく必要があるでしょう。
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