2025.07.26
夏といえば冷たい飲み物。コーラ、アイスコーヒー、缶チューハイ——どれも暑い日には手が伸びる。物流業界でも「夏場は飲料が動く季節」と認識されており、実際に我々もそのように経験してきた。
ところが先日、とある飲料メーカーの物流子会社を訪問した際、現場の方から思わぬ話を聞いた。
「いやぁ、ここまで暑いとコーヒーも炭酸も、売れ行きが鈍くなるんですよ」
えっ、暑いほど飲料が売れるんちゃうの?と思っていた私は耳を疑った。その言葉の真意を探るうちに、「夏場の物流」に潜む意外な現実と向き合うことになった——。
現場の方が語ってくれたのはこうだ。
「猛暑になると、人って飲みたいものが限られるんですよ。味が濃いもの、刺激があるものは避けられがちで、水かお茶に集中する。すると、うちの主力のアイスコーヒーや炭酸、アルコールは逆に数字が落ちるんです」
たしかに、真夏に汗だくで働いた後、強い炭酸やアルコールが胃にきつく感じるときがある。利尿作用のあるコーヒーやアルコールも、脱水が心配になる季節には敬遠されがちだ。
「暑ければ売れる」とは限らない。むしろ、「ちょうどいい暑さ」が売上のピークを生む。そのラインを超えると、消費者は“体に優しいもの”を求める傾向にあるというのだ。
実際に現場を歩かせてもらうと、倉庫内は蒸し風呂のよう。大型の冷蔵設備があるわけではなく、扉の開閉も頻繁なため、冷房が効きにくい。
「作業員が熱中症で倒れないよう、1日3回は必ず水分補給と休憩を義務付けています。だけど、それでも倒れる人は出てしまう」
運ぶ商品は液体、つまり“重い”。ペットボトル飲料1ケースで約8kg。これを連続で扱うのだから、体力消耗はすさまじい。夏場は、人材のシフト編成、スポット派遣の確保、冷感グッズや塩飴の支給など、現場の“守り”にもコストがかかる。
「商品はあっても、人手が足りない。動かすのが限界になってきます」と苦笑されていたが、その言葉の裏にあるのは物流現場の深刻な“人手不足×猛暑”問題だ。
ある意味、夏場の物流は「天候依存型」だ。梅雨が長引けば夏物商品は動かず、台風が来れば出荷は止まる。そして、猛暑がすぎれば売れる商品も変化する。
たとえば——
6月末~7月初旬:炭酸飲料、ビール、アイスコーヒーが伸びる
7月下旬以降(35度超えが連続):水、麦茶、スポーツドリンクへ移行
8月中旬:飲料消費が頭打ち、購買疲れが出る
9月頭:急な気温低下でホット飲料に切り替え始める
この“消費のうねり”に合わせて物流現場は準備を進めねばならない。つまり、需要のピークに合わせて人員もスペースも調整する必要があるということだ。
この話、実は我々のような運送業者やリース事業にも大いに関係している。
たとえば、猛暑で飲料需要が減少→出荷量減→チャーターや貸切案件の減少、という形で波及する。と同時に、倉庫で滞留している在庫の移動や、需要予測のズレによる返品・再出荷などの“イレギュラー業務”も増える。
我々が意識すべきは「暑さ=売れる」ではなく、「暑さの質によって動くものが変わる」という事実。
今後、夏の運送戦略を立てる上では、この“気温と商品の相関”をきちんと押さえておく必要があると感じた。
物流業界では、「季節変動」は避けて通れないテーマだ。とくに夏は「売れる」「動く」と思われがちだが、実際には“暑すぎる”ことが逆風になるケースも少なくない。
現場の方の言葉を借りれば、
「暑い=売れる時代」は、もう終わってるかもしれません。
これからの物流は、“体感温度”を見ながら動きを読む力が求められる。気温が1度違うだけで売上が何%変動する、そんな細かい予測ができる会社こそが、猛暑の時代を生き抜く。
私たちもまた、現場の“声”にもっと耳を傾けていきたい。
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