2025.05.27
2025年5月27日、農林水産省が発表した内容が市場に衝撃を与えた。前日から開始された備蓄米の「随意契約」に、わずか24時間足らずで19社、合計9万トン以上の申請が集まったのだ。これは、当面の放出予定である30万トンの3割にあたり、過去に類を見ないスピードでの反応といえる。
そもそも備蓄米は、災害などの非常時に備えた国の安定供給施策である。通常は入札によって市場に放出されるが、今回は「随意契約」、つまり事前に価格を定めて申し込みを受け付ける異例の形式だ。背景には、コメ価格の高騰や、食料品全体のインフレによる生活者の負担増がある。
申請企業には、ドン・キホーテを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスや、サンドラッグ、オーケー、カインズ、業務スーパーで知られるJMホールディングスなど、全国規模の小売・流通大手が名を連ねている。
これら企業の共通点は、価格訴求型のビジネスモデルと、強固な物流インフラを自社で整備している点だ。特に、低価格で集客を狙う戦略をとる企業にとって、安定した品質と安価なコメの確保は重要な武器となる。
また、楽天やアイリスアグリイノベーションといったITや農業ベンチャーの参入も注目される。オンライン流通や直販の強化を目指す彼らにとって、国の備蓄米を原資にした新しい供給モデルが構築される可能性がある。
今回の売却価格は、玄米60キロあたり税抜10,700円。これは5キロ換算で約892円と、一般的な小売価格の半額近い水準となっている。これまでの入札制度と比べても破格といえ、市場に与える影響は極めて大きい。
この価格帯の商品が市場に出回ることで、スーパーやディスカウントストアの売場では“価格破壊”が進むだろう。一方で、既存の流通経路を通じた米の販売は、価格競争で劣勢になる恐れもある。中小の精米業者や農協にとっては、厳しい局面が訪れる可能性も否定できない。
私たち物流業界にとっても、このニュースは決して他人事ではない。大量の備蓄米が一気に動くということは、それだけ多くの輸送・保管が必要になるということだ。
まず、各企業の物流センターへの搬入が集中するため、スポット便や臨時倉庫の確保が急務となる。また、コメという重量物で日持ちのする商品は、扱いや積載効率においても通常の商品とは異なる配慮が求められる。
加えて、企業によっては小分け包装やセット商品として店舗に配送するため、拠点間輸送と最終店舗配送の両方が必要になる。こうした複雑な流通網を、いかにスムーズに機能させるかが現場の課題となる。
今回のような市場変動時は、大手だけでなく中小物流業者にもチャンスが広がる。例えば、食品特化型の配送車両を保有している事業者や、地域密着型の配送網を持つ業者は、大手小売のラストワンマイルを担うパートナーとして活躍が期待される。
とくに地場密着の強みを活かし、配送・保管・梱包といった付加価値サービスをワンストップで提供できる体制を整えれば、価格競争ではなく“対応力”で選ばれる存在になれるはずだ。
農水省が備蓄米を「生活支援」のツールとして動かし始めたことは、今後の政策の方向性を示している。単なる非常食ではなく、日常生活のコスト支援にまで踏み込んだこの施策は、行政と流通・物流が一体となって機能する新たなモデルといえる。
我々物流業者にとって重要なのは、こうした変化を“リスク”と見るのではなく“機会”として捉えること。変化の兆しに敏感に反応し、新たな需要に応えられる体制を築いていくことが、これからの生存戦略になる。
備蓄米という国家レベルの施策が、ここまで民間市場にインパクトを与えるとは誰も想像していなかった。だが、そんな時代だからこそ、物流の本質が問われる。単にモノを運ぶのではなく、変化に対応し、最適な手段を提供する存在。それが今の物流業者に求められている姿や。
しらやんが経営する株式会社ニュートラルも、そうした「変化に強い物流会社」として、これからもお客様のビジネスを支えていきたい。
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